2005年四国春の旅(俳句短歌分類)
小林勇一作
1 四国瀬戸内海俳句短歌分類
2 四国-徳島→松山(写真集)
3 詩情に満ちた春の伊予への道
4遍路の魅力(文明を離れ人間臭いものを求める旅)
春光やス-パ-常陸走り去る |
春光を朝吸いこみぬ太平洋 |
春光や車体の色のカラフルに |
久方に筑波山見ゆ春の駅 |
広々と春光満ちぬ常陸かな |
我が行くや走る電車に茨城や椿百輪の風にゆるるも |
久方に常陸の平野ひらけけり栃木の山も望む春の日 |
東海のかなたゆ昇る春の日や輝きまぶしも四国へ進みぬ |
四国 | |||
立江寺 | 町中に遍路の寺や春の山 | ||
菜の花や阿波阿南の駅とまる | |||
菜の花や道のり遠し遍路行く | |||
水張りし田中に残る五輪塔 | |||
鶯やあとから遍路のついてくる | |||
四国路や春の入江の船だまり | |||
日和佐 | 春の日や城に薬王寺の日和佐かな | ||
甲浦(かんのうら) | 春の朝船も漁に出て我も発ちぬ | 甲浦奥に隠れて港かな春の夜一人旅人泊まる | |
貫之の港によると春の夜や一夜泊まりぬ甲浦かな | |||
また一人遍路の行くや落椿 | |||
旅路きて春の潮騒夫婦岩 | 大岩の一つしるしとここにあれ春の海朝の光のここにまぶしく | ||
点々とスミレや遍路に女性あり | |||
土佐の海春の潮騒山に鳴る | |||
室戸 | 春潮や維新の志士のここにいず | ||
室津 | 春の日や魚の匂い室津かな | ||
春の日や室津に古戸町古りぬ | |||
落椿古橋渡り遍路行く | |||
春の日や漁師は語る並ぶ船 | |||
遍路行くあと追い行くや春日影 | |||
雨しきり椿のぬれて遍路行く | |||
高知 | 高知にて市電の行くや朧月 | ||
チュ-リップ高知に市電の行き来かな | |||
春の暮市電も古りぬ高知かな | |||
旅路きて高知の巷春の月 | |||
春の暮遍路交差す標かな | |||
土佐大正 | 春寒し土佐大正の駅による | 土佐にきて思いはここに都かな都を遠み春の夜ふけぬ | |
行き行きて春の嵐や遍路死す小さき墓の標に鎮まる | |||
半家(はげ) | 半家を去るワンマンカ-や春寒し | 中村へ別れる道かな春寒し風の唸りて道の遠しも | |
沈下橋わたり菜の花村一つ | 若竹に風のうなりて落椿命散らしぬ春の小夜嵐 | ||
落椿雨にぬれたる沈下橋 | 年古りてなお旅路のつづくかなき知らぬ駅の名春の夕暮 | ||
城跡の山に埋もれて春寒し | 中村へ別れる道かな春寒し風のうなりてその道遠しも | ||
岩本寺 | 遍路よる春寒しかな岩本寺 | ||
宇和島の城へ上れる石段の古りてそあわれ落椿かな | |||
紅梅や今船のいで我もたつ | |||
宇和島 | 宇和島の城の古りにき春の雪老いし遍路とともに下りぬ | ||
宇和島の天守の窓や山迫り春の雪降り城の古りにき | |||
春寒し宇和島にきて老二人石段おりて落椿見ゆ | |||
狩浜 | 春の日に十ほどめぐる港かな | 宇和島の春の雪いだく山高し港々に映えて清しも | |
伊予なれや入江に港春の山 | 山狭間伊予の港も古りにけれ春の日静か我も沖見ゆ | ||
旅人の休む峠や春の雲 | |||
春の夕伊予の山々重なりぬ | 海際に春の入り陽や北の方伊予の山の上春月光る | ||
今朝降りし草に残れる春の雪 | 海望み伊予の山陰今朝ふりし雪の残りて鶯鳴きぬ | ||
夕鶯鳴きあう声のかすかかな港々は山に閉ざされぬ | |||
春の日や鯨の碑一つ入江かな | 山の上に鯨こぬかと沖見る日伊予の漁村の春の日暮れぬ | ||
落ち合いぬ山路やあわれ夕鶯 | |||
宇和町(うのまち)の春田に遍路我も行く | |||
山中の遍路道いで春田かな | |||
梅香るあとから遍路のまた来る | 遍路行く足どり確か春の日や碑一つ古りて昔を語る | ||
大州 | 城望み春の大川大州かな | ||
川広く春田広がり大州城 | |||
山ぬけて大州や春の川に城 | |||
春草にレ-ルの伸びて大州城 | |||
旅路きて木蓮開く大州城 | |||
内子 | 春の山内子の昔ウダツかな | ||
松山 | 春の夕鳩雨にぬれ遍路橋 | 石手寺に鐘の鳴るかな雨しとと遍路参りぬ春の夕暮 |
|
松山に三越高島春の夕 | 白椿咲きて静けき松山の路地を歩めば雨しととふる |
||
江戸の店京大坂や春の夕 | 木屋町に柳青める雨しとと市電の行ける音のひびけり | ||
春うらら点々港百の浦 | 城の下牛行く坂と雨しとと石一つおく春の夕暮 | ||
瀬戸の海百船集う春の風 | 街道の四つ交わる松山の昔思いぬ春の夕暮 | ||
春曇る今日も巡りし市電かな | 故郷に帰れぬ墓のしるべかな遍路巡りし春の夜ふけぬ | ||
海望む郊外に出て春の草 | 木屋町に萱町古町市電かな我三日ほどあそび春曇るかな | ||
春草や電車は海へいでにけり | 木屋町に常夜灯残りたる旅人たずね春の日暮れぬ | ||
木屋町の界隈静か一輪の落椿かな常夜燈による | |||
瀬戸内海 | |||
音戸 | 春の海小島のいくつ船の行く | 海光り四国の朝の春の山連なり高し船離りゆく | |
呉 | 音戸でて呉に来たりぬ春の風 | ||
船おりてトランジットに走る春の風 | |||
船に来て境川わたり春の雲 | |||
電車の音船の行き来や春の夜城を見上げて尾道泊まる | |||
春の夕常夜燈見ゆただの海 | 尾道の路上に赤き鯛を売る春の潮の流るる朝に | ||
因島 | 海光り因島に来て初つばめ | ||
因島朝の潮風に椿かな | |||
春風の橋にふきつけ下に船 | |||
島に来て残る古井戸落椿 | 目の前を船行くを見る地蔵かな春風吹いて旅人も行く | ||
宮浦 | 宮浦に春の夕陽や昔かな | 春の日に名なしの墓や水軍の一族郎党ここに眠りぬ | |
宮浦や今や淋しも夕鶯 | 船の出て船の帰るを待ちにける舟霊神社の跡と春の島 | ||
大三島 | 大三島春の夕陽に古木かな | 神前を朝はき清め千年の古木の根元や椿咲くかな | |
チヌという魚を食うや春の瀬戸 | |||
宗方 | 宗方に畑打つ人や老いにけり | 宗方に残る校舎や春の海光り船行くも児童は消えぬ | |
春の日ややまた対岸に一湊 | 島伝い船行く見つつ宗方に春の日さして砂浜歩む | ||
春の星夜も船行く瀬戸の海 | 浦尻にまわりてあわれ港かなまた船いずる春の日の午後 | ||
今治に帰りて四国の春の山高きを望み夕陽入るかな | |||
さかまきてうずまき春の潮かな船の行き来のここに絶えじも | |||
行く船と走る我かな春の朝 | 春の朝海に向いている地蔵かな小島二つや伊予の浜辺に | ||
四国 | |||
伊予 | 春の昼釣り人一人伊予の海 | ||
菜の花や遍路下りにし伊予小松 | |||
今治 | 春の朝今治城や海と山 | ||
観音寺夕べ椿の石に散る | 4年の歳月重し乞食の遍路語りて春の夜ふけぬ | ||
唐子浜 | 春の海松影静か唐子浜 | ||
伊予の国山の霞みてレンゲ畑 | |||
菜の花やかなたに海や遍路行 | |||
朝の海伊予の春田や遍路行く | |||
穴吹の駅 | 穴吹の駅こそあわれ夕桜塩江遠しも旅人交じる | ||
吉野川の水面に写る菜の花や川沿いの町夕暮れにけり | |||
春の日や車窓に迫る剣岳 | |||
板野郡藍住町の奥野かな菜の花咲いて畑打つ人あり | |||
光貞町 | 燕来る光貞町に旅の人 | ||
落人に夕鶯や奥の谷 |
点線が自転車で走ったところです、船の絵のあるところが港です
大きな船は大きな船が出た所です
遍路が行く(宇和(うのまち)
四国瀬戸内海写真集へ