ロシア国歌
小林勇一作



「我がル-スキ-国にようこそ」


極北の大地に灼熱の夏ありき

涼しい風がそよきひねもす木陰にまどろむ

果実は豊かに実り今労せずその実をほうばる

大河は満々と水をたたえて蛇行して流るる

その岸辺は広く原野におおわれぬ

そこは未だ神話の巨人の国なれや

荘重な門を入りてまた新たな国に入りぬ

「我がル-スキ-国にようこそ」

分厚い大きな手をさしだし固い信頼の握手せり

そしてのしのしと歩み寡黙に去りぬ

その大きな背をはっきりと望めり

大河の水平線に夕陽は沈み

太陽は極北の軸に輝き沈む

我は信頼の大岩に寄りて木陰にまどろむ

延々と果てることなく白樺の林の森

その白樺によりてひそか見知らぬ花は咲きぬ

そは遠く微かきらめく星のように

そこにはまだ人の入らぬ道なき森

神がつつみ隠す貧しい見知らぬ村

その壮大な森に虹の立ちけり

その虹の根をこの未開の森に見たり

中央の権力興亡栄華の都会ははるか遠く贅沢品はなし

お土産は一つの白樺細工の小箱

そこに宝石は入れられぬ

大事なるもの真心をそこに収めむ
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黙々と黒い固いパンを食べ質朴なる民

その手からわたされたものは金に換えられぬ

金にて換えられぬ貴重な労働の結実の産物

心からの感謝をもって受けとろう

荘重な門を入りてまた新たな国に入りぬ

「我がル-スキ-国にようこそ」

極北の大地に灼熱の夏の日の実りあり

騒々しき文明の最先端の国のことを忘れ

遠き日をなつかしみ木陰にひねもすまどろむ

そこにはまだ汚されぬ楽園のありや

神々が闊歩する大いなる大庭園

惜しみなく花々は咲き神の手を一杯にする

その時の歩みはゆるやかに大河は延々と流れ

その岸辺は広く夏の日その緑の原野を

悠々と鳥がわたりとび夕陽が映えて沈む

そこは確かに宇宙より見える地球の一角の軸

太陽は荒涼たるツンドラに一人輝き

未明の大地に夕陽は没して月は皓々と地平に昇りぬ

月のみそ照らして大地は明るい

荘重な門を入りてまた新たな国に入りぬ

「我がル-スキ-国にようこそ」

ル-スキ-の接したキタイ国とはいかなる国や

キタイ-ズと今も中国を呼ぶなれ

モンゴルはタタ-ルと地名に残りぬ

草原の尚武の民の威風や西と東を結べり

大いなる新たなる古風なる世界の残存

言葉は歴史の重みを伝え荘重にもひびく

大きな歴史の系譜の中に連結された言葉

ロ-マの歴史とも結ばれたル-スキ-国の栄光よ

ロ-マの栄光と重なりロ-マの歴史は継続される

大地に主-キリストへの祈りは深く固く

素朴なる民は大地に頭を垂れる

その鐘は荘厳に壮大な大地に鳴りひびく

地球になお新たな世界と古風な世界の交じり

そのなお触れえざる世界の神秘の輝きを知れ

数千年の織りなす歴史の織物は荘厳

地球一つに結ぶ歴史の織物の栄光と悲惨

なお歴史と文化は交じり新たな世界を創造せよ

再び平和をもって結ばれ地球の栄光の日を見む