白川郷の昔の営み(小林勇一)
落葉を踏みしめ歩む
ギ-コンギ-コンギギ-コン
水車がゆっくりと流れに回る
水の流れに合わせて回る
奥深い山間から清らかな水が流れ
合掌作りの間をぬうて流れ
秋の蝶が流れにそうて舞いゆけり
ゆるやかな時の流れの日々
パタンパタンパタタン
機織りの音が山間にひびかう
あせらず日々の仕事に励む
荘厳な白山がさえぎる
その山肌は厳しく迫る
長く閉ざされた日々の営み
都は夢の中のみにあるや
落人部落の伝説もここに
囲炉裏を囲み思念を深め
ただひたすら吹雪の音を聞き
その大黒柱も黒光りして
深い雪の中に埋もれて春を待つ
荘川桜の古りぬれ幾本か
峠を越え峠を越え我はるか来たりて
その残りし桜の樹により
隠れ里白川郷への想い深めぬ