交野の春風 小林勇一
春の日に百済寺の跡と疎石かな
そこな佇めば古の塔の影あり
春の日影の移り静かに塔の影
うつろい昔を偲ぶもあわれ
淀川の流れゆるやかに春の風
唐の国ゆ朱の赭土船上り来るや
難波に船の行き来の絶えじ
春の日の夢のごとしも
天野川や逢合橋もゆかし
八十島映えて夕日赤々と
難波の潟を染めて沈むや
日下の古き名は今も残れり
饒速日尊は十種の神宝を授かり
磐樟船に乗りて天降る
磐船神社の生駒山に鎮座す
神代の伝えここに守りぬ
銅鐸はこの渡来人の物部氏の作るものと
地霊の鎮めと地に埋められし謎深き
星田の宮に祀るは妙見神社
船の導き北斗七星を祀る
神代の歴史ここに刻まれぬ
尊くも大祖神のここに宿り
日の本の国を見守りたまいぬ
うるわしき大和の国に幸あれ
美しき日はここに流れしを
瀬戸内海より吹きくる春の風
唐(韓)よりあまたの船は通いぬ
難波津の港栄えて国は栄ゆる